アルゼンチン対エジプト戦で大きな論争になったのが、エジプトのゴール取り消しです。

後半、エジプトが追加点を奪ったかに見えた場面でVARが介入し、ゴールは無効になりました。

試合は最終的にアルゼンチンが3-2で逆転勝利。

そのため、エジプト側からは「流れを変えられた」「不公平だ」という不満が一気に噴き出しました。

ただ、この判定は単純に「誤審」と言い切れるものではありません。

ルール上は説明できる部分があります。

一方で、見ている側がモヤモヤしたのもかなり自然です。

問題は、足を踏んだかどうかだけではありません。

ゴールからかなり離れた場面までVARが戻り、しかも試合の流れを大きく変える形になったこと。

ここが、今回の判定をここまで荒れさせた一番の理由だと思います。



エジプトのゴール取り消しは誤審だった?

結論から言うと、エジプトのゴール取り消しは「完全な誤審」とは言い切れません

VARが確認したのは、ゴールそのものではなく、その前のボール奪取の場面でした。

報道によると、エジプトのマラワン・アティアがアルゼンチンのリサンドロ・マルティネスの足の甲を踏むような接触があったと見られています。

引用元: 二歩のX

そのプレーがファウルと判断され、そこから始まった攻撃でゴールが生まれたため、VARチェックの対象になったわけです。

つまり、審判団の考え方としてはこうです。

「ゴールの前に、攻撃の起点となるファウルがあった」

そう判断したから、ゴールを取り消した。

この流れ自体は、VARの制度から外れたものではありません。

 

ただし、ここで引っかかるのが「本当にそこまで戻るのか」という部分です。

ゴール前のハンドやオフサイドなら、まだ分かりやすいですよね。

でも今回は、自陣深くでの接触からカウンターが始まり、かなり長い距離を運んだあとのゴールでした。

見ていた人からすれば、「そこまでさかのぼるなら、ほぼ何でも取り消せるのでは?」と感じてしまいます。

 

ルール上は説明できる。

でも、感覚としてはスッキリしない。

今回の判定は、まさにそのタイプだったのだと思います。



 

VARが戻った足踏みファウルの場面

VARが問題にしたのは、エジプトがボールを奪った直後の場面です。

マラワン・アティアがリサンドロ・マルティネスに接触し、そのあとエジプトが一気にカウンターへ移りました。

映像では、アティアがマルティネスの足の甲を踏むような接触が確認されたと報じられています。

この接触をファウルと見るなら、ゴール取り消しには筋が通ります。

相手の足を踏んでボールを奪い、そのまま得点につながったなら、攻撃の始まりに反則があったことになるからです。

引用元: イナッチFCのX

サッカーでは、ボールを奪った瞬間の接触がかなり重要になります。

体を入れたのか。

足を引っかけたのか。

偶然触れただけなのか。

同じ接触でも、見方によってかなり印象が変わります。

今回も、そこが割れました。

 

「足を踏んでいるならファウルで当然」という見方。

「接触は軽く、倒れ方も含めて取り消すほどではない」という見方。

どちらの反応が出るのも分かります。

特にVARはスロー映像で見るため、接触そのものは強調されやすいんですよね。

リアルタイムでは流れていたプレーが、スローで見ると急に重大な反則に見える。

VAR判定でよく起きるズレです。

今回の場面も、まさにそこに火種がありました。



 

80m前の接触まで見る理由とは

今回の判定で一番分かりにくいのは、自陣深く、つまりゴールから80m以上前の接触までVARが戻ったことです。

なぜ、そこまで戻れるのか。

ポイントは「アタッキング・ポゼッション・フェーズ」、つまり得点につながった攻撃の流れです。

VARは、ゴールが決まった場面だけを見るわけではありません。

そのゴールに直接つながる攻撃がどこから始まったのかを確認します。

 

今回の場合、エジプトがボールを奪ったところからカウンターが始まり、そのままゴールまでつながった。

だから、ボール奪取の場面が攻撃の起点だと見なされたわけです。

これがルール上の説明です。

ただ、見る側の感覚はまた別です。

80m以上運んで、パスも走りも判断も重なって、ようやく決まったゴール。

それを最初の接触一つで全部なかったことにされると、どうしても「そこまで戻るの?」となります。

ファウルを見逃さないためのVARなのに、範囲が広がりすぎると、今度はゴールの喜びそのものを疑いながら見ることになる。

これがしんどいところです。

点が入っても、しばらく喜べない。

「どこかで何かあったんじゃないか」と待たされる。

VARが公平性のために導入されたはずなのに、観る側には別のストレスを生んでしまうんですよね。



 

アルゼンチン有利と荒れた背景

今回の判定がここまで荒れたのは、相手がアルゼンチンだったことも大きいです。

アルゼンチンは前回王者で、メッシを擁する世界的な注目チーム。

その相手にエジプトがリードし、番狂わせの空気が出ていた中で、ゴールがVARで取り消されました。

しかも試合は最終的にアルゼンチンが3-2で逆転勝利。

この流れになると、エジプト側から不満が出るのは避けられません。

 

エジプト陣営からは、審判への不満や「不公平」といった強い発言が報じられています。

一部では「アルゼンチンやメッシを勝たせたいのでは」という声まで出ました。

もちろん、そうした不正や八百長の主張について、決定的な証拠が示されているわけではありません。

そこは分けて考える必要があります。

ただ、怒りがそこまで大きくなった理由は分かります。

エジプトからすれば、「大国相手にようやくつかんだ流れを、細かい判定で止められた」と感じたはずです。

しかも、そのあとアルゼンチンが逆転した。

結果だけ見れば、判定が試合の空気を変えたように見えてしまいます。

人は、判定そのものだけで怒るわけではありません。

自分たちに厳しく、相手には甘いように見えた瞬間に、一気に不公平感が膨らみます。

今回の反応も、そこに近いと思います。

 

足踏みの有無だけなら、ここまで大きな話にはならなかったかもしれません。

でも、相手がアルゼンチンで、舞台がワールドカップで、試合が逆転劇になった。

材料がそろいすぎました。

疑いたくなる人が出るのも、ある意味では自然です。



 

判定より残ったVARへのモヤモヤ

今回のVAR論争で残ったのは、「判定が正しかったか」だけではありません。

むしろ、多くの人が引っかかったのは、VARの使われ方そのものだったのではないでしょうか。

足の甲を踏むような接触があったなら、ファウル。

攻撃の起点なら、取り消し。

この説明はできます。

 

でも、それで全員が納得するかというと、そう簡単ではありません。

なぜなら、サッカーは一つの接触だけでできている競技ではないからです。

ボールを奪う。

走る。

運ぶ。

パスを出す。

シュートを決める。

その全部がつながってゴールになります。

その長い流れの最初にあった接触まで戻って取り消すなら、VARはどこまで試合を巻き戻せるのか。

 

ここが見えにくい。

だから、モヤモヤが残るのです。

今回の判定は、ルール上は成立する可能性が高い。

ただし、サッカーを見る人の感覚としては、かなり重い取り消しでした。

エジプトのゴールが消えた瞬間、多くの人が感じたのは「ファウルかどうか」だけではなかったと思います。

 

「この試合の流れまで、VARが決めてしまったのではないか」

その違和感です。

VARは、明らかな誤審を減らすための仕組みです。

でも、使われ方によっては、正しさを増やすほど納得感が減ることがあります。

今回のアルゼンチン戦で荒れた理由は、そこにあります。

判定の正しさと、試合を見る人の納得感。

その二つが、きれいに重ならなかった試合でした。



 

まとめ

今回のVAR判定は、ルールだけを見れば説明できる部分があります

ただ、それでも割り切れない空気が残ったのは、ゴールから遠く離れた接触まで戻り、試合の流れそのものが変わったように見えたからです。

エジプト側の不満も、単なる負け惜しみとは片づけにくいものがありました。

正しい判定だったのか。

それとも、VARの使い方が重すぎたのか。

アルゼンチン戦で残ったのは、ファウルの有無以上に、サッカーのゴールをどこまで巻き戻して判断するべきかという問いだったのかもしれません。

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to-chan
元介護施設職員、現ブロガー、雨を愛する人 自動車好き、読書、光輝くもの好き 座右の銘:朱に交われば赤くなる 好きな四字熟語:一期一会