

2025年春、宇多田ヒカルの新曲「Mine or Yours」が
緑茶飲料「綾鷹」のCMソングとして3月に起用されました。
5月にリリースされると同時に大きな注目を集めています。
CMでは、宇多田ヒカルが日常の中で「綾鷹」を飲みながらリラックスする様子が描かれ、
曲の持つ温かさや日常感がブランドイメージと重なり、多くの共感を呼んでいます。
しかし、歌詞の中に「♪夫婦別姓~」という言葉が入っていることがわかり、
話題になっていました。確認していきたいと思います。
歌詞に込められた「夫婦別姓」への問いかけ
この楽曲が特に話題となっている理由は、
歌詞の中に
「令和何年になったらこの国で夫婦別姓OKされるんだろう」
という一節が登場することです。
このフレーズは、現代日本で長年議論されてきた
「選択的夫婦別姓」制度の導入問題に直接言及しており、
リスナーやネットユーザーの間で大きな反響と議論を巻き起こしました。
「Mine or Yours」は、パートナーとの日常や価値観の違い、
共存の距離感を描く楽曲ですが、
その中にさりげなく社会的テーマを織り込んだことで、
単なるラブソングにとどまらない深みが加わっています。
歌は時代を映し出す鏡なのかも知れません。
ネット上の反響と議論
SNSやメディアでは、
「宇多田ヒカルが社会問題に踏み込んだ」
「アーティストが自分の思想を作品に込めるのは自然なこと」
「夫婦別姓をめぐるリアルな気持ちが伝わる」
といった肯定的な意見が多く見られる一方、
「歌詞に政治的意図があるのでは」
「アーティストの立場でここまで言及するのは珍しい」
といった声も上がり、賛否両論が巻き起こっています。
また、議員や有識者からも反応があり、
東京港区議会議員や国会議員が
「社会的な問題提起として意義深い」
と肯定的に受け止めたほか、
社民党の福島瑞穂党首も自身のSNSで
「嬉しい!今国会で実現しよう!」
とコメントするなど、社会的な波及効果も生まれています。
歌詞表現の意図と背景
「夫婦別姓」というワードが歌詞に登場することで、
宇多田ヒカルが直接的に制度導入を訴えているのではないか
という見方もありますが、実際の歌詞全体を読むと、
あくまで日常の一場面や現代日本の「選択肢のなさ」
への素朴な疑問や切実な思いとして表現されていることが分かります。
「♪どの道を選ぼうと 選ばなかった道を失う寂しさとセット
♪令和何年になったらこの国で夫婦別姓OKされるんだろう」
この一節は、人生の選択肢や自由の裏にある
「不自由さ」や「失われるもの」
への気づきとともに、個人の選択が社会構造によって
制限されている現状への静かな問いかけでもあります。
宇多田ヒカル自身もLGBTqを公表していることでの「制限」を感じているのかも知れません。
「夫婦別姓」問題とは?
日本では、結婚する際に夫婦どちらかの姓に統一すること
が法律で定められています。
選択的夫婦別姓制度は、
夫婦が結婚後もそれぞれの姓を名乗ることを可能にする仕組みですが、
いまだ実現していません。
これは「名字を変えたくない」「自分らしく生きたい」
という思いを持つ人々が、結婚をためらうケースも少なくありません。
宇多田ヒカルの歌詞は、こうした社会的背景を踏まえ、
「なぜ今も選択肢がないのか」
「もっと自由な生き方ができる社会であってほしい」
という願いを、日常の延長線上で自然に表現しています。
宇多田ヒカルの表現スタイルと時代性

宇多田ヒカルはこれまでも、
時代を象徴するワードや現実的なテーマを
自然体で歌詞に盛り込むスタイルで知られています。
今回の「夫婦別姓」も、特定の主張を押し付けるのではなく、
「選択肢があればいいのに」
という素直な疑問や、現代を生きる一人の人間としての
リアルな感覚をさりげなく表現しています。
また、「Mine or Yours」というタイトルが示すように、
「私のものか、あなたのものか」
という所有やアイデンティティの境界線、
共存のあり方についても深く問いかけており、
夫婦別姓の問題もその一部として描かれています。
まとめ
宇多田ヒカルが国民的ブランド綾鷹のCMソングで
「夫婦別姓」という社会的テーマを歌詞に盛り込んだことは、
J-POPシーンでも極めて異例でありました。
歌詞の一節が、現代日本の家族観や個人の自由、
社会制度のあり方への問いかけとして多くの共感を呼び、
同時に賛否両論の議論を巻き起こした。
「夫婦別姓」問題は、いま国会で議論されている
単なる制度論争にとどまらず、
「自分らしく生きる」「選択肢を持つ」ことの大切さを象徴している。
宇多田ヒカルの自然体で等身大の表現が、
日常の延長線上で社会的なテーマを投げかけることで、
多くの人に「自分ごと」として響いたと思います。
「Mine or Yours」は、
時代の空気を映し出すと同時に、
私たち一人ひとりの「選択」と「共存」について静かに問いかける、
現代的な名曲となっています。
これをきっかけに政治に興味を持ってみてもいいかと思いました。