江口寿史
引用元:dメニューニュース
2025年秋、漫画家でありイラストレーターの江口寿史氏に浮上した“パクリ疑惑”が、SNSを中心に大きな波紋を呼んでいます。

トレースが疑われる元画像は次々と特定され、「なぜ今になってバレたのか?」と驚く声も多数。

背景には、ネット検証班の驚異的な特定能力と、時代と共に変化した“創作と権利”の考え方がありました。

本記事では、炎上の経緯から検証の手法、業界への影響までをわかりやすく整理。

江口寿史のトレース疑惑は一体なぜ問題なのか?その本質に迫ります。

 

江口寿史のパクリ疑惑とは?炎上の経緯を整理

「え、江口寿史って、あの“ストップ!! ひばりくん!”の?」

そう驚いた人も多かったのではないでしょうか。

2025年9月20日、江口寿史氏が自身のXで公開した「中央線文化祭2025」のメインビジュアル。

それが後に、Instagramユーザー・金井球(かなえきゅう)氏の写真を無断でトレースした疑惑として炎上の引き金となりました。


 

そして10月3日、金井氏本人が自身のXで「江口氏のイラストが自分の写真と酷似している」と指摘。

この投稿をきっかけに、事態は一気に拡散していきます。

驚くほど一致した髪型や輪郭、鼻筋のラインはまさに「そのまま写したようだ」と話題に。

 

そこから火は燃え広がり、「特定班」と呼ばれるネットユーザーたちが過去作品の“元ネタ探し”を開始。

お兄さん
お兄さん
この”特定班”と言われる方々、いい仕事してます!

何人で探してる?ってぐらい仕事が早いニャア~!
ねこ
ねこ

5chやガールズちゃんねる、X上では、「このポーズ、non-noの誌面っぽい」「デニーズの広告、新木優子氏の写真じゃん?」といった投稿が続出します。

引用元:すばやい心のX
ほどなくして、Zoff、EDWIN、デニーズ、クレディセゾンといった大手企業とのコラボイラストにもトレース疑惑が浮上。

各社が「事実確認中」や「使用停止」といった声明を発表し、広告やコラボ企画が次々と取り下げられる異例の展開となりました。

 

炎上の決定打となったのは、江口氏本人のコメントです。

金井氏の指摘を受けてXに投稿した内容で、「インスタに流れてきた完璧に綺麗な横顔を元に描いた」と説明。

さらに「事後承諾を得た」と報告しましたが、謝罪の言葉がなかったこと、そして金井氏を“素材”のように扱う表現が多くの反感を買いました。

 

“ポップな女の子イラスト”の第一人者として時代を築き、今なお影響力を持つ江口寿史氏。

しかし今回の件では、その華やかなキャリアの裏に潜む著作権や肖像権への意識の甘さが問われる形に。

 

「昔はバレなかった。でも今は違う!」

そんな声がSNSで相次ぎ、ネット時代の新しい検証文化を象徴する事件としても注目を集めています。

 

次の見出しでは、なぜこれほど多くの元画像が見つかったのか?

SNS検証班の“特定力”と、その裏にある仕組みを詳しく見ていきます。

 

なぜバレた?検証班が突き止めた元画像の正体

トレパク
引用元:週刊女性PRIME (前も後ろもトレースしているのかな?)

では、なぜここまで江口寿史さんの“トレース疑惑”が立て続けに明るみに出たのでしょうか?

昔のように、ファンの中だけで楽しんでいた時代なら、気づかれずに終わっていたかもしれません。

でも今は、誰でも検証できるSNSと画像検索の時代

そして、何よりも特定班の存在が大きかったのです。

 

まず、技術面での進化があります。

Google画像検索やYandex(ロシアの検索ツール)といった画像検索ツールを使えば、気になるイラストと似た画像をたった数秒で見つけられる時代。

例えば、江口氏の描いた女性の横顔を画像検索にかけると、そっくりなInstagram写真がヒットする……そんな事例が実際に起きています。

そこに加わったのが、SNS上の“特定班”の力。

X、5ch、ガールズちゃんねるでは、江口作品の“元ネタ探し”が半ばゲームのように始まりました。

 

「この服装、non-noの昔の特集っぽくない?」

「この女の子、岸本セシル氏のSNS投稿の写真だ」

「このポーズ、月刊クリームに載ってたやつだと思う」

そうした声が次々と集まり、検証班の手によって比較画像や元ネタの情報が大量に共有されていきます。

とくに、ファッション誌(non-noなど)の古いバックナンバーや、月刊クリームなどの成人誌、SNSの一般投稿が主な元画像として特定されており、ネット民の“記憶力と執念”に驚いた人も多いのではないでしょうか。

お兄さん
お兄さん
情報量の多さとそれを検索するエンジンが秀逸なんだね!

昔のnon-noも検索にかけると出てくるのかニャア~?
ねこ
ねこ

これまで江口氏のイラストは、「江口風」という個性があるため、一見するとオリジナルのように見えることも多かったのが事実。

しかし、実際に元画像と重ねるとポーズ・輪郭・衣装がほぼ一致しているケースが続出。

Zoffのコラボ広告ではnon-noモデルのトレース、EDWINの広告ではLevi'sの写真をトレースしたとされる画像が出回り、「荒技すぎる」と逆に感心される一幕までありました。

お兄さん
お兄さん
EDWINの広告依頼にLevi'sの写真を使うのは…!

江口先生も攻めたトレースをしたということですね!
ねこ
ねこ

お兄さん
お兄さん
もしバレたら…とか考えなかったのかな?

さらに特筆すべきは、検証そのものが“エンタメ化”していたことです。

新しい元ネタが見つかるたびに、検証スレでは「発見!」「これは一致すぎるw」などの声が上がり、リツイートが飛び交う。

その盛り上がりはまるで、ネット時代の“謎解き大会”のようでした。

 

要するに、今回の騒動は「トレースをする人が増えた」のではなく、「見抜ける人が増えた」ということ。

画像検索という武器を持ったSNS世代のユーザーが、集団で動いたときの情報拡散力は圧倒的です

そしてもう一つ大切な点は、“過去には見過ごされがちだった創作手法”が、今は通用しないという時代背景です。

江口氏は以前のインタビューで「写真をトレースして下描きを作る」と語っており、それ自体は創作の一技法として使われることもあります。

しかし現在では、著作権や肖像権の認識がより厳しくなり、商用での無断使用は明確な批判対象となっています。

 

SNSが発達した今、「なんとなく似てるかも?」が、「完全一致です」に変わるのは時間の問題。

そしてそれを証明するのは、プロの鑑定士ではなく、ネットの“検証班”たちなのです。

 

トレース問題の深層と業界への影響

「トレースって全部ダメなの?」

最近この話題を見かけて、そう疑問に思った方も多いかもしれません。

実は、トレースという技法そのものは、イラストや漫画の世界では昔から使われてきたものです。

ポーズや構図の参考として、写真を下絵に活用するのは珍しいことではありません。

 

ただし今回問題になっているのは、“無断で”“商用に”使用されたケース。

そして、その事実が明らかになっても明確な謝罪や説明がないまま進んでいる点です。

 

江口寿史氏は、過去のインタビューで「撮影写真をトレースして下描きを作ることに罪悪感はない」と語っていたことがあり、今回の騒動ではその発言も改めて掘り返され、炎上の一因となっています。

さらに、金井球氏の写真を使った「中央線文化祭2025」のポスターでは、本人のX投稿によって無断使用が発覚

江口氏は「事後承諾を得た」と説明しましたが、謝罪の言葉はなく、火に油を注ぐ結果となってしまいました。

 

このような状況に、企業も対応を迫られることに。

Zoffやデニーズ、EDWINが相次いで「確認中」や「使用停止」を発表し、ルミネ荻窪は「今後一切使用しない」「再発防止に努める」と明確に表明しています。

中には、実際にポスターや販促物を撤去した例もあり、現場レベルでの混乱もうかがえます。

 

では、イラスト業界全体にとってはどうなのでしょうか?

じつは、2022年にも古塔つみ氏のトレース疑惑が炎上した前例がありました。

この時も、「どこまでが参考で、どこからが模写・盗用なのか?」という議論がネット上をにぎわせたことを覚えている人も多いはずです。

 

今回の江口氏の件では、それに加えて“プロとしてのモラル”や“時代に合った著作権意識”がさらに厳しく問われる形に。

企業との商用契約が絡む分、より重大な問題として受け止められています。

 

一方で、「江口風に昇華している」「リキテンスタイン的なサンプリング」と擁護する声もゼロではありません。

しかし、今の時代、多くのユーザーは「引用の仕方」に非常に敏感。

要は、“どこから引用したか”ではなく、“どう扱ったか”が問われているのです。

 

創作においてインスピレーションを受けるのは当然のこと。

でもそれを「無断で使い」「説明もせず」「商用に展開する」というプロセスでは、現代のネット社会では信頼を失うのも早いというわけです。

 

これを機に、イラスト業界では著作物使用に関するガイドラインの整備や、商用利用時の契約内容の明確化が進むと見られています。

クリエイター自身が“自分の線”を守るためにも、他人の権利を尊重する時代になったのです。

 

創作と権利、その間にあるグレーゾーン。

これまでは曖昧だったそのラインが、今回の騒動をきっかけに「明確に引かれ始めた」とも言えるかもしれません。

 

まとめ

江口寿史氏のトレース疑惑は、単なるパクリ問題にとどまらず、創作における“オリジナル”の価値や、クリエイターが守るべき倫理観を改めて問い直す出来事となりました。

検証班の特定力、SNSの拡散力、企業や業界の対応――あらゆる要素が絡み合い、問題は今も進行中です。

今後、江口氏がどのような説明を行うのか。そして業界がどのように再発を防ぐのか。

この騒動は、私たちが作品に向き合う姿勢そのものを問う、大きな分岐点となるかもしれません。