サッカー日本代表FW・上田綺世の妻で、モデルやインフルエンサーとして活動する由布菜月さんの育児に関する発言が、SNSで物議を醸しました。

注目されたのは、「1人で育児をしているような気になってしまう時がある」という趣旨の言葉です。

一部では「ワンオペ育児への不満を、W杯期間中の夫にぶつけた」と受け取られ、上田選手への配慮が足りないという批判まで広がりました。

ただし、由布さんは夫を強く責めたり、育児をまったくしていないと訴えたりしたわけではありません。

前後の内容を見ると、離れて暮らすなかで感じた寂しさや、産後の心境を振り返っていたという方が近いでしょう。

では、なぜこれほど反発が集まったのでしょうか。

発言そのものだけでなく、切り抜かれ方やW杯というタイミング、夫婦の私生活をどこまで発信するのかという問題が重なったようです。



由布菜月のワンオペ発言は何だった?

由布菜月さんの発言は、YouTubeの質問コーナーで「ガルガル期はありましたか?」と聞かれたことがきっかけでした。

ガルガル期とは、出産後の女性が周囲に対して警戒心やいら立ちを感じやすくなる時期を、一般的に表した言葉です。

由布さんは質問に答えるなかで、ベビーグッズや子供の服などを自分で用意していたことに触れました。

引用元: 🐈 のX

そして、ときどき夫に対して「興味があるのかな」と感じたり、「1人で育児をしているような気になってしまう時がある」と思ったりしたことを明かしています。

この部分だけを見ると、上田選手が育児に無関心だったようにも聞こえるかもしれません。

しかし、由布さん自身も、夫婦が離れて暮らしているため難しい状況だったことは理解していました。

上田選手はオランダでプレーし、2026年のW杯に向けた活動も続けていました。

 

一方、由布さんは日本で出産し、産後も実家などで過ごしていたとされています。

物理的に一緒にいられない以上、日常の育児を由布さんが担う時間が長くなるのは避けにくい状況でした。

由布さんは、そのなかで感じた気持ちを一度夫に伝えたと話しています。

それがガルガル期だったのかどうか、自分でもはっきりとは分からない。

(ガルガル期とは:育児インフルエンサー界隈では浸透しているワードで、ホルモンバランスの変化などで、周囲の人への当たりがきつくなってしまう状態のことを指します)

そんなふうに、当時の心境を振り返る形だったようです。

さらに、上田選手については「基本的に怒らない」「すぐにごめんねと言ってくれるタイプ」とも説明しています。

由布さんから不満をぶつけることが多かったものの、現在は上田選手側の事情を聞き、理解するようになったとも語っていました。

 

つまり、動画全体の趣旨は、夫への告発というよりも、産後に抱いた感情と夫婦の変化を振り返る話だったと考える方が自然です。

第2子についても「2人は欲しい」と話していたため、夫婦関係に深刻な問題が起きている様子ではありませんでした。

それでも、「1人で育児をしているような気になる」という一文だけが広がると、まったく違う印象になります。

そこから、今回の物議が始まりました。



なぜW杯中の発言が批判されたのか

批判が強まった大きな理由は、発言の内容よりもタイミングです。

引用元: マナ のX

上田選手は日本代表としてW杯に臨む立場にあり、試合や準備に集中することを求められていました。

そのため一部では、由布さんがW杯期間中に育児への不満を伝えたことで、上田選手の集中を乱したのではないかと受け取られたのです。

「大事な大会中に言うことではない」

「トップアスリートに一般家庭と同じ育児参加を求めるのは無理がある」

そのような批判が目立ちました。

ただ、由布さんはW杯による不在について、「しょうがないこと」と理解していたとされています。

大会そのものを責めたり、代表活動より家庭を優先してほしいと主張したりしたわけではありません。

ここには、少し話の飛躍があります。

引用元: 話題のニュース図鑑のX

産後の妻が孤独を口にしたことと、夫の仕事を邪魔したことは、本来同じではありません。

それでも批判が広がったのは、上田選手が日本代表だったからでしょう。

代表選手の家族には、ときに「本人を支える側」という役割が強く求められます。

 

夫が大事な試合に出るなら、妻は家庭の問題を外へ出さず、黙って支えるべきだ。

そんな古い価値観が、今も完全には消えていないんですよね。

しかも、上田選手は一般的な会社員とは違います。

 

海外クラブでプレーし、国を背負って試合に出るトップアスリートです。

その特殊な仕事を理解して結婚したのだから、不在や育児負担も受け入れるべきだという見方も出ました。

たしかに、海外でプレーする選手の家庭が、一般家庭と同じ生活を送るのは難しいでしょう。

遠征、代表活動、シーズン中の移動。

予定どおりに家族がそろわないことも珍しくありません。

 

ただし、事情を理解していることと、つらさを感じないことは別です。

頭では「仕方がない」と分かっていても、夜泣きや授乳が続けば、孤独を感じる瞬間はあります。

むしろ、相手を責められない事情があるからこそ、不満をどこへ向ければよいのか分からなくなることもあるでしょう。

今回の発言には、そうした納得しているのに、しんどさだけは残る産後の現実が表れていたように思います。

ところが、W杯という大きな舞台と一緒に語られたことで、その感情まで「選手の邪魔」と見なされてしまいました。

 

批判されたのはワンオペという言葉だけではありません。

代表選手の妻に、どこまで我慢や沈黙を求めるのか。

そこまで話が広がったからこそ、議論が大きくなったのです。



切り抜きで変わった発言の受け取られ方

今回の物議では、発言の切り抜かれ方も大きく影響しました。

SNSでは、長い動画のなかから短い言葉だけが抜き出されます。

「1人で育児をしているような気になる」

「夫は興味があるのかなと思った」

この2つだけが並べば、夫への強い不満を公表したように見えるでしょう。

引用元: こ のX

しかし実際には、由布さんは淡々と過去の心境を語り、現在は夫の事情も聞くようになったと説明していました。

上田選手が怒らず、すぐに謝ってくれる性格であることにも触れています。

発言の前後には、夫婦関係が悪化しているというより、産後のすれ違いを乗り越えつつある話が含まれていたわけです。

切り抜きは、内容を短く分かりやすくする一方で、感情の強さを変えてしまいます。

 

迷いや振り返りとして語った言葉が、断定的な批判に見える。

あるいは、夫婦の会話が告発のように受け取られる。

短い動画や投稿が中心のSNSでは、よく起こる現象です。

さらに、元の質問コーナー動画は現在削除済みと報じられています。

動画を確認できなくなったことで、発言の全体像よりも、すでに拡散された一部分だけが残る形になりました。

これも話をややこしくしています。

元動画を見ていない人は、強い言葉で要約された投稿を通して内容を知ります。

すると、投稿者の解釈まで事実のように見えてしまうんですよね。

 

「W杯中の夫にワンオペの不満をぶつけた」

 

この表現も、本人がそのまま語った言葉ではなく、発言を受けた側のまとめ方です。

実際の動画では、W杯を理由に夫を責めたというより、過去に一度気持ちを伝えたという内容でした。

もちろん、家庭内の不満をYouTubeで話すことに抵抗を感じる人はいるでしょう。

上田選手本人がどこまで公開を了承していたのかも、外からは分かりません。

引用元: diva≠fy 『👁』のX

ただ、批判するにしても、元の発言とSNS上で作られた物語は分けて考える必要があります。

切り抜きが広げたのは、言葉そのものより「代表選手を支えない妻」という印象だったのかもしれません。

その印象が先にできてしまうと、前後の説明はなかなか届かなくなります。

炎上とは、発言が広がるだけではありません。

人物像まで、短い言葉に合わせて作り替えられてしまうことがあります。

今回も、その典型に近いでしょう。



批判と擁護がかみ合わない理由

今回の反応は、由布菜月さんを批判する声と擁護する声に分かれました。

批判側が見ているのは、主に発信の仕方です。

夫婦の不満をYouTubeで話す必要があったのか。

日本代表選手の妻という立場で、夫の印象を下げるような内容を公表してよかったのか。

家庭内の話を出しすぎではないか。

このような点が問題視されました。

 

一方、擁護側が重視しているのは、産後の育児をほぼ1人で担う大変さです。

夫が海外にいて、娘と会えた期間も限られている。

出産直後から日々の世話を担うなかで、孤独を感じるのは不自然ではないという見方です。

また、「選手の妻だから不満を言ってはいけない」という考え方自体がおかしいという声もありました。

両者は、同じ発言を見ているようで、実は違うものを見ています。

批判側は、公の場に出したことを問題にしています。

擁護側は、本人が感じたつらさを問題にしているのです。

引用元: あずさ🛋️🌃🎄 のX

そのため、「育児が大変なのは分かる」という説明だけでは、発信への批判に答えたことになりません。

反対に、「家庭内で話すべきだった」という意見だけでは、産後の孤独そのものを無視することになります。

議論がかみ合わないのも当然でしょう。

さらに、上田選手が育児を完全に放棄していたわけではないとされる点も重要です。

 

出産には立ち会い、大会前には夜間の育児にも関わっていたと報じられています。

物理的に離れていたため日常的な育児は難しかったものの、何もしていなかったと決めつけられる状況ではありません。

由布さんも、そのことを理解したうえで話していました。

つまり、この夫婦を「育児に無関心な夫」と「不満をネットで暴露する妻」という単純な構図に入れるのは無理があります。

現実はもっと中途半端です。

夫には仕事上の事情があり、妻には産後の孤独がある。

どちらか一方だけが悪いわけではないからこそ、感情の置き場所が難しいのです。

ただ、SNSでは複雑な事情より、分かりやすい役割の方が好まれます。

夫が悪いのか。

妻が悪いのか。

どちらかを選んだ方が、意見を言いやすいからです。

 

しかし今回の話題で見えてきたのは、夫婦の善悪ではありません。

家族の事情を発信した瞬間、見る側が夫婦の役割まで決め始める怖さではないでしょうか。

育児のつらさを語れば、夫への攻撃だと受け取られる。

夫の事情を説明すれば、妻が我慢すべきだと言われる。

どちらへ進んでも、誰かにとっては間違いになる。

そんな息苦しさも、今回の炎上を大きくしたように見えます。



本当に問われたのは夫婦より発信の距離感

今回の物議で、本当に問われたのは上田夫妻の関係ではなく、私生活をどこまで発信するかという距離感だったのでしょう。

由布菜月さんは、日常や育児の様子をSNSやYouTubeで積極的に発信しています。

視聴者にとっては、有名選手の家庭生活や、海外で活躍する夫を持つ妻のリアルを知れることが魅力です。

 

一方で、リアルを見せれば見せるほど、見ている側は家庭内の出来事に意見を言うようになります。

家族の話を公開した以上、反応されるのは仕方がないという考え方もあるでしょう。

ただ、公開された一部分だけで夫婦関係のすべてが分かるわけではありません。

動画で語られたのは、生活のなかの一場面です。

夫婦の会話、仕事の事情、育児の分担、支えている家族の存在。

外から見えない部分の方が圧倒的に多いはずです。

それでもSNSでは、一つの発言が夫婦関係全体の評価に変わります。

 

妻が愚痴を言えば、夫を立てない人になる。

夫が不在なら、育児をしない人になる。

さすがに、話が早すぎます。

今回、由布さんが語ったのは、産後に一度も理解されなかったという話ではありません。

不満を伝え、夫が謝り、現在は事情を聞くようになったという変化まで含まれていました。

むしろ、夫婦がすれ違いながら調整してきた話とも読めます。

ただし、それを公の場で語ることに違和感を持つ人がいるのも事実です。

 

特に上田選手のように注目度の高い人物の場合、家庭の話は本人のイメージや競技への評価にまで結びつきます。

由布さん自身の体験であっても、語れば夫の評価にも影響する。

インフルエンサーとして日常を発信する難しさは、まさにそこにあります。

リアルを見せなければ、「作られた発信」と言われる。

本音を見せれば、「しゃべりすぎ」と言われる。

視聴者が求める親近感と、家族が守りたいプライバシーの境目は、かなり曖昧です。

私は、今回の発言がここまで広がったのは、由布さんの言葉が特別に過激だったからではないと思います。

トップアスリートの妻。

産後のワンオペ育児。

W杯。

YouTubeでの私生活発信。

 

反応が大きくなりやすい要素が、いくつも重なっていました。

その結果、夫婦の小さなすれ違いが、選手の妻のあり方や育児分担をめぐる大きな議論へ変わったのでしょう。

家庭のなかでは、相手を責めたいわけではないのに、しんどいと言いたくなる瞬間があります。

それは矛盾ではありません。

むしろ、相手の事情が分かっているからこそ、簡単には怒れず、孤独だけが残ることもあります。

今回の発言ににじんでいたのは、夫への強い批判というより、そんな割り切れなさだったのかもしれません。

夫婦の問題を外から判定するより先に、短い言葉だけでは見えない生活がある。

今回の物議は、その当たり前を少し忘れさせるほど、SNSの切り抜きが強かったということなのでしょう。



まとめ

由布菜月さんの「1人で育児をしているような気になる」という発言は、夫への強い批判というより、離れて暮らすなかで抱えた産後の孤独を振り返ったものでした。

ただ、W杯という特別な時期や、上田綺世選手の妻という立場が重なったことで、発言は本人の意図を離れて広がっていきます。

批判側は「家庭の不満を公にしたこと」を問題にし、擁護側は「産後のつらさを語る自由」を重く見ました。

同じ言葉を見ていても、注目している部分が違えば、議論はかみ合いません。

今回の物議が映したのは、夫婦の善悪ではなく、私生活を発信することの難しさと、短い言葉だけで家庭の全体像まで判断されてしまうSNSの怖さだったのかもしれません。

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to-chan
元介護施設職員、現ブロガー、雨を愛する人 自動車好き、読書、光輝くもの好き 座右の銘:朱に交われば赤くなる 好きな四字熟語:一期一会