雑学

桃鉄2の宇多津駅が多度津と誤表記?ゲームの地理ミスに自治体がPR活用!

2025年11月に発売された『桃太郎電鉄2』。

そこで起きた**ちょっとした“地理ミス”**が、今じわじわと話題になっています。

舞台は香川県。

全国の駅が登場するゲーム内マップの中で、「宇多津駅の表示がどうもおかしい」という声がSNSで囁かれ始めました。

その原因は、名前が似ている「多度津駅」との取り違えだったのです。

地元民からすれば「えっ、そこ間違える!?」という反応もあったほど。

けれど、ここで終わらなかったのが今回の面白いところ。

この“ミス”を逆手に取って、自治体がポジティブな動きを見せ始めたんです。

 

「せっかく話題になったんだから、知ってもらうチャンスにしよう」

そんな声があがり、観光施策や地元PRの一環として活用しようという流れに。

単なる表記ミスが、地域の知名度アップへとつながる可能性も出てきました。

ちょっとした間違いが、意外な形で人々の関心を集める。

今、香川県の小さな町の“前向きな反応”に注目が集まっています。




桃鉄2の宇多津駅が多度津に?

2025年11月に発売されたNintendo Switch用ソフト『桃太郎電鉄2 ~あなたの町もきっとある~』。

日本全国の駅や物件を巡りながら、遊び感覚で地理を学べるとあって、根強い人気を誇るシリーズですよね。

そんな桃鉄2に、“ある違和感”があると気づいた人たちがいました。

きっかけは、発売前の2025年9月頃に公開されたゲーム内マップ。

ネットでは徐々に話題となり、じわじわと“モヤモヤ”が広がっていきます。

 

舞台は香川県の予讃線エリア。

真っ先に声をあげたのは、地元民と鉄道ファンでした。

あれ? 宇多津駅がどこにも見当たらない……?

四国側で瀬戸大橋を渡ったすぐ先。

本来であれば、四国の玄関口とも言える重要な駅「宇多津駅」があるはずの場所。

 

そこに表示されていたのは――なぜか「多度津駅」

しかも、その「多度津駅」に付随する物件が「白方ぶどう園」「車両整備場」「造船所」など、どれも多度津町の名所ばかり

つまり、地理的にも物件的にも「宇多津」がごっそり消え、“まるごと多度津に置き換えられている”という構図だったのです。

実際の予讃線の駅並びを見てみましょう。

高松 → 坂出 → 宇多津 → 多度津 → 丸亀

 

が、ゲーム内では、宇多津の位置に「多度津駅」、その多度津の位置に「丸亀駅」。

しかも「多度津駅」には多度津町の施設がズラリ。

これはもう、「宇多津、消されとるやないか!」という状態。

SNSや掲示板でも、

「どうしてこんな基本的なミスが?」

 

「これは“宇多津駅消失事件”では?」

など、驚きや疑問の声が一気に噴き出しました。

香川県民にとっては、この“誤表示”は決して軽視できる話ではありません。

宇多津駅は、JRの主要路線が交差する重要な乗換拠点。

なにより、本州と四国をつなぐ瀬戸大橋の四国側の“入り口”という役割を担う存在です。

 

そんな駅が、ゲームの中では最初から存在しなかったことに――。

小さな違和感どころか、「うちの町、地図から消えてるんだけど?」というショックすらありました。

しかも驚くべきことに、この指摘は発売前からされていたにもかかわらず、

修正されることなく製品版にもそのまま反映されていたのです。

地理を学べるコンテンツとして支持されてきた桃鉄。

 

だからこそ、こうした“情報の誤り”が、子どもたちの知識に影響を与えてしまう可能性もゼロではない。

その意味でも、ちょっと笑って済ませるには惜しい出来事です。

――しかし、このあと。

宇多津町が見せた対応は、まさかの“ポジティブすぎる展開”へとつながっていくのです。




ゲームの地理ミスはなぜ起きた?

では、なぜ『桃太郎電鉄2』では、宇多津駅と多度津駅が入れ替わってしまったのか

実はその裏側には、思わず納得してしまうような理由がいくつか見えてきます。

まず、大きな原因として挙げられているのが、「宇多津(うたづ)」と「多度津(たどつ)」の名前の似すぎ問題

見た目も音も、確かにちょっとややこしい。

漢字を並べてみると、「宇」と「多」以外は全部一緒。

 

読み方もリズムが似ていて、県外の人や地理に明るくない開発者にとっては、混乱するのも無理はありません。

実際、SNSでは「宇多津って多度津のことだと思ってた!」という声も見られました。

しかもこの2つの駅、距離にしてわずか10km程度しか離れていないという近さ。

同じ予讃線上に並んでいるとなれば、なおさら間違いやすいんですよね。

さらに今回のミス、“地元じゃない視点”による落とし穴だった可能性も指摘されています。

 

開発側からすれば、全国の地名や物件をくまなく調べ、正確に配置するのはかなりの重労働。

限られたリソースと時間の中で、すべてを精査するのは難しいのが現実でしょう。

だからこそ、地名が似ていたり、読み方が紛らわしかったりすると、「地元の人なら絶対に気づくミス」でも、外部の目線だとすり抜けてしまう。

実際、桃鉄シリーズではこれまでも、マップの縮尺やゲーム性を重視するあまり、現実とは異なる地理配置がされることはありました。

とはいえ、今回のケースはちょっと深刻。

 

駅の名前が違うだけでなく、物件までごっそり別の町のもの。

これは“単なる演出”では片づけられないレベルの誤りです。

そして、桃鉄が“子どもたちの学習ツール”としても使われていることを考えると…

「これで覚えた知識がテストで間違ってた!」なんて事態が起きるかもしれない。

それだけに、地名や地理の情報には、ある種の“責任”も伴うのです。

 

注目すべきなのは、今回の話題がここまで広がった背景にある、ネット時代ならではの“気づかれスピード”

マップ画像が出た瞬間、地元民や鉄道ファンがすぐに違和感に反応。

それがSNSで共有され、共感や驚きの声とともに一気に拡散されていきました。

かつてなら見逃されていたかもしれない小さなミスも、今は「誰かが気づいて、誰かが発信する」時代です。

こうした背景も相まって、今回の“地理ミス”は、

 

ちょっとした勘違いから始まったとは思えないほど、大きな注目を集めることになったのです。

でも――

ミスを受けての“ある町の動き”が、物語を次の展開へと引っ張っていきます。




宇多津町のPR活用が神対応

駅名の地理ミス――

普通なら「訂正要求」や「公式謝罪」を求める展開になってもおかしくありません。

しかも、今回消されていたのは瀬戸大橋の玄関口・宇多津駅

地元民からすれば、「うちの町をまるごと飛ばすって、どういうこと?」という気持ちになるのも当然です。

ところが。

 

宇多津町が見せたのは、まさかの“神対応”でした。

2025年12月5日。

香川県綾歌郡宇多津町の町議会12月定例会で、この桃鉄2の“地理ミス問題”が、ついに正式に議題として取り上げられます。

登壇したのは、町議の田村充(たむら みつる)議員

前日から自身のX(旧Twitter)で「この問題を議会で話す」と予告していたこともあり、町の対応に注目が集まっていました。

 

田村議員の問いかけはこうです。

この地理ミス、単なる誤記で済ませる話ではない。教育的にも、町のブランド的にも影響があるのでは?

それに対する町側の返答――

驚くほどポジティブなものでした。

まず、ミスの存在はすでに把握済み。

 

そのうえで、「子どもたちが誤った地理知識を覚える可能性はある」と一定の懸念も表明しました。

でもその先の対応がすごかった。

町が選んだのは、抗議ではなく、“PR文書”の送付だったのです。

そのPR文書には、

「宇多津は瀬戸大橋の四国側の玄関口であり、地理的にも歴史的にも魅力のある町です」といった内容が丁寧に記されていたとか。

 

そして何より印象的だったのが、

「このミスをきっかけに宇多津を全国に知ってもらうチャンスにしたい」という姿勢。

町長の谷川俊博氏も、

「今後、ゲーム会社とのコラボなども視野に、建設的な関係を築いていきたい」と前向きなコメントを発表。

怒りをぶつけるのではなく、関係を築くきっかけに変える――。

 

この柔軟な発想が、SNS上でも大絶賛されました。

Xでは「神対応!」「宇多津、好きになった」「クレームじゃなくPRに昇華させたの天才では?」といった声が次々と拡散。

読売新聞、四国新聞、Yahoo!ニュースなどでもこの対応は取り上げられ、“ゲームの地理ミスを追い風にした町”として一気に全国区の注目を集めています。

一方で、多度津町側からは特に公式な反応はなく、

“間違われた側”としては静観を貫いている様子。

 

結果的に、宇多津町は「名前を消された」どころか、

かえってその名前を全国に広めることに成功。

偶然のミスを、チャンスに変える行動力と発想力。

抗議ではなく提案を。 怒りではなく機会を。

その姿勢こそ、まさに“神対応”と呼ぶにふさわしいものでした。




まとめ

駅名ひとつの表記ミスが、まさか**町の存在感を全国に広げるきっかけに**なんて――。

宇多津駅と多度津駅。

名前がよく似たこのふたつの駅が生んだ“すれ違い”は、
ゲーム内での地理ミスとして、思いがけず注目を集めました。

けれど本当に驚かされたのは、そのあとです。

**宇多津町が見せた、柔らかくもしなやかな対応力。**

ミスに対して怒りをぶつけるのではなく、
**「どう活かすか?」を考えて行動した**その姿勢が、結果として町の価値を引き立てました。

デジタルとリアルが、ふとした瞬間に交わる今の時代。

ゲームという“フィクション”の中の出来事が、
**現実のまちづくりや地域の発信につながっていく。**

その象徴とも言える今回のエピソードは、
エンタメの持つ影響力と、それにどう向き合うかという“地域の姿勢”を問いかける一件となりました。

ABOUT ME
to-chan
元介護施設職員、現ブロガー、雨を愛する人 自動車好き、読書、光輝くもの好き 座右の銘:朱に交われば赤くなる 好きな四字熟語:一期一会