

パナソニックHDは、2025年度から2026年度にかけて国内外で
合計1万人規模の人員削減を実施すると発表しました。
国内外でそれぞれ約5,000人ずつ削減する計画で、
グループ全体の従業員約22万8,000人の約4%に相当します。
なぜこのような大量リストラをしなければならないのでしょうか?
大企業の抱える問題点をわかりやすく記したいと思います。
削減の背景と目的
パナソニックHDの楠見雄規グループCEOは会見で、
「雇用に手を付けるのは忸怩たる思いだが、会社の経営基盤を変えなければ持続的な成長ができない」と
述べており、経営の抜本的な改革として人員削減を決断したことを明かしました。
今回の人員削減は、グループ内の間接部門の重複解消や業務効率化を目的としており、
赤字事業の終息や拠点統廃合も同時に推進されます。
構造改革費用として約1,300億円を計上し、
2026年3月期までに早期退職の募集などを通じて実施される予定です。
これにより、2026年度には2024年度比で1,500億円以上の収益改善を目指し、
営業利益6,000億円以上を達成することが目標とされています。
ということは赤字の子会社をかなり抱えていたということになりますね。
松下幸之助の考えを受け継いでの会社経営でしたが、限界が来た!とうことでしょうか。
技術流出の懸念
この大規模な人員削減に伴い、パナソニックHDをはじめとする日本の電機業界では優秀な技術者の流出が懸念されています。
韓国のサムスングループが日本人技術者の引き抜きを加速させていることが問題視されています。
サムスンはリチウムイオン電池、太陽光発電、エアコンのインバータ技術など、
日本企業が先端を行く分野の技術者を高待遇で積極的に採用しており、
年収は日本の電機メーカーの約10倍に及ぶケースもあります。
このような人材流出は、単なる個別の転職にとどまらず、
開発チーム単位での引き抜きも行われてるという噂もあり、日本企業の技術力や競争力の低下を招く恐れがあります。
技術者の処遇悪化や部署縮小による将来不安が背景にあり、
経営環境が厳しい中での人員削減は優秀な人材の流出リスクを高めています。

日本企業の課題と対応
パナソニックHDを含め日本の電機メーカーは、リストラや事業縮小を余儀なくされているものの、
優秀な技術者を失わないための人材戦略が十分に機能していないとの指摘があります。
専門家は、単なる人員削減だけでなく、
技術者をグループ内の子会社やサプライヤーに再配置するなどして、
技術やノウハウの流出を防ぐべきだと提言しています。
また、経済産業省も企業に対し、競合他社にとって価値ある技術を持つ人材の棚卸しや
分析を緻密に行い、人的資産の管理を強化するよう求めています。
パナソニックHDも「社員稼業」と「衆知経営」を掲げ、
人材を経営資源として重視し続ける方針ですが、
今回の大規模削減は技術流出のリスクを伴うため、今後の対応が注目されます。
まとめ
パナソニックHDの1万人規模の人員削減は、
経営基盤の抜本的な改革と収益改善を目指すための苦渋の決断です。
しかしながら、国内外での大規模な人員削減は、優秀な技術者の流出を招きかねず、
韓国サムスンによる日本人技術者の積極的な引き抜きが加速している現状では、
技術の流出リスクは無視できません。
日本の電機業界全体としては、単なるリストラにとどまらず、
人的資産の戦略的な管理と技術者の適切な処遇改善が急務となっています。
パナソニックHDが今後どのように技術流出リスクを抑えつつ
経営改革を進めるかが、業界の注目点となるでしょう。